# JFCC Japan Fly Casting Club
ジャパン・フライ・キャスティング・クラブ
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養沢毛鉤専用釣場

JFCC秋の例会2007

”台風の爪痕も生々しい川辺で・・・・・”

2007.9.9

台風9号(7日午前2時ころ小田原に上陸し、その後サクラマス圏を総なめにし日本列島を縦断)が小田原に上陸してから、2日経った9月9日(日)、養沢毛鉤専用釣場においてJFCCの秋の例会が開催された。 奥多摩では総雨量700mmを記録し、多摩川水系は記録的な豪雨を記録したにも関わらず、谷一つ隔てた支流秋川では幸いにも土砂崩れなどの風水害はなかったようである。

養沢は秋川(水位はそれほどでもなかったが、褐色の濁流)の更に支流にあたり、濁りも笹濁り程度で、木橋は外されたままの状態であったが、水位も平水に比べて50cm程度の増水までに治まっていた。 これならば、何とか釣りにはなりそうである。

事務所に着いたのが8時少し前、久し振りの朝からの釣りである。 皆さん、事務所に着くや早々に釣り支度にかかり、その意気込みが感じられる。 このところすっかり秋めいてきたのだが、台風がまた夏を連れてきてしまったようで、真夏のような暑さがぶり返してきた。 夏鳥は子育てを終えそろそろ渡りの準備に差しかかる時期だというのに、ガビチョウばかりは繁殖期のように囀り続けていた。

山から搾れた水は意外と冷たく水温計は17度を示している。 淵は何処も土砂で埋まってしまい、従来の流れに戻るまでにはかなり時間がかかりそうである。 河原の葦の倒れ方やゴミのひっかかり具合などを見る限り、養沢では2mくらいは水が出たようである。

先ずは事務所から遠藤商店まで歩いてみたのだが、ニジマスの姿はまるで見えない。出水とともに一気に下ってしまったようである。 足周りは増水を意識してニーブーツは止め、前回の釣行時と同様にノースフェースのMt. Cargo Pantにモンベルのサワーシューズ・ロングにした。 それ故、この程度の流れではウェーダでは多少危険な場所でも難なく歩ける。 ついつい年甲斐もなく、渡渉そのものにも楽しさを求めてしまった。

どうやら今回はヤマメ狙いでいくしかなさそうである。 12時に養沢センター集合としているため、何としてでも、それまでに例会エントリー用の獲物を手に入れなければならない。 今回のような出水後のポイントは、出水時にヤマメが身を寄せることが可能な石裏が中心となるものである。

養沢センター前は巨岩が累々としている大場所の連続している区間である。 多少の出水があってもヤマメの隠れ場はいくらでもある。 この辺りならばニジマスも残っている可能性も高い。朝から入渓したものの、ポイント探しばかりで殆ど竿を出していなかった。

検量までの時間はいくらも残されていない。 ひょっとしたらエントリー用のヤマメを用意出来ないかもしれないとの不安が脳裏を過り、慎重になればなるほど取り込みでヘマをしてしまうものである。 昨晩巻いたウーリーバガーをダウンストリームで巨岩の抉れに送り込み、漸くニジマスを誘い出すことに成功したものの足元が激流のため岸に寄せることが出来ない。 無理やり浮かせて流れ越しに引き寄せようと試みるも、流れが複雑でラインにはテンションを掛けているつもりであったのだが途中でふいに竿は軽くなってしまった。

同じポイントで再びニジマスを掛けたのだが、今度は大岩をよじ登り下流に回り込んで取り込もうとしたのだが、大岩をよじ登っている間にマスは流れに乗ってしまい、一つ下のプールに落ちた際にフライは外れてしまった。 2度あることは3度あるとは良く言ったもので、この巨岩の抉れの中にはマスが溜まっているようで、またあたりが出て向こう合わせにフッキングした。

今度こそはと、足元が膝くらいの深さのように見えたので、岩の割れ目からずり落ちるようにして水の中に入り、ハンドランディングを試みようとした。 そろそろと足先からずり落ちていったのだが、足元は思ったより深かった。 水中の岩棚に爪先を掛けようにもなかなか届かない。 そうこうしている内に、マスは目の前で横になっていたのだが、張っていたつもりのラインが緩んでしまったのであろうか? フライはマスの唇から外れてしまい流れに乗って消えてしまった。

どうやら、このポイントではいくら掛けても取り込むことは難しそうである。 時間もないので、このポイントは諦め、一つ上の落ち込みを狙うことにした。 アップストリームの釣りでは、3Xのフィールドメイトでは流れの抵抗を強く受けてしまい、ウーリーバガーのままでは直ぐ浮き上がってしまい、狙ったポイントを探ることは困難である。

そこで、ティペットをやや長めにとり、フライをロックのアンダーファーをボディに巻いた沈み易い黒のニンフに替え、女波に乗せて大きな沈み石のある石裏に送り込んでみたところ、運良く中型ヤマメがニンフを銜えてくれた。やれやれ・・・・・。

検量に持ち込まれたマスは殆どがヤマメであったが、こんな悪条件にも関わらず、しっかりニジマスを釣り上げた方もいらっしゃったようである。 また、イワナをはじめ養沢で孵化したと思われるブラウンや、ヤマメの当歳魚も健在であった。 成魚放流されたニジマスは住み慣れた流れには未練がないのであろうか? 定住性はなく、水が出ると一気にどこまでも下ってしまう。 日本のような落差の大きい河川では、一旦下ってしまうと、二度と元の流れに戻れないようなところが多いものである。 ヤマメやイワナ(放流魚であっても)は大水が出ても決して自分の住み場所を捨てることなく、頑なに自分の住処に留まろうとするものである。 やはり、日本のフリーストーンではヤマメとかイワナといった在来のマスが良く似合っているようだ。

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昼は何時ものように、養沢センターのテラスをお借りして暫し釣り談議に花を咲かす。 ゆったりとしたときが流れ、現の憂さを忘れることができ、身も心もリフレッシュさせてくれる。 ビールの味も一際美味く感じるものであり、何時もながら釣りをやっていて良かったと感じるひとときでもある

宴もお開きとなり、各自、思い思いの釣り場に散っていく。 午後は幾分水位も下がったようで、マスの活性も上がったようである。 何方も午前中とは打って変わって良い釣りをされたようである。 僕は事務所に戻る途中、高橋さんのお宅の前で長老から呼び止められた。 前回の釣行の際に撮らせていただいた写真を大変喜んでいただき、栗ご飯をご馳走になってしまった。 養沢に来ると、何時も地元の方達に暖かく迎えられ、気持ちも和む。 僕らにとって養沢は単なる管理釣り場ではなく、心の故郷のようなものである。 何時までも良い関係でありたい!

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長老も大分お元気になられたようである。 激流もものとせず、頼もしい釣り姿を見せていただいていると、我々も見習わなければと思わずにはいられない!

(N.Suzuki)

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